2014年9月29日月曜日

安野光雅が描く野の花

ぬけるような青空と金木犀の香りにつられて、その日の仕事はなしにして散歩がてら、安野光雅さんの展示に行ってきました。

安野光雅さんといえば、言わずと知れた絵本作家さん。

小さい頃、「もりのえほん」が大好きで、どこに何の動物がいるのか、兄弟やお母さんや友達と随分探した記憶がありました。

展示のあった市川市芳澤ガーデンギャラリーは一度も訪れたことがなかったのですが、閑静な住宅街を抜けると突然素敵な緑の大きな庭があらわれ、バリアフリーで入れる程よい大きさのギャラリーが併設されています。ベビーカーごとどうぞ、といわれ、熟睡した娘と一緒に入館。

雑草とよばれて気づけば見過ごしてしまいがちな野の花たちが、安野さんの魔法にかかったようにいきいきと主役の場をもらって輝いていました。同時にならんでいる文章もとっても面白くて、ついつい長居してしまいました。
ただ、穏やかで心和む絵や文章の中に、戦争の陰が見え隠れしていて、これからの日本がどうなっていくのか、とても考えさせられる一面もありました。

そして思いがけず、「もりのえほん」の原画にも出会い、なんと原画の下には何の動物がいるのかすべて大きく描かれているではありませんか!!長年わからなかった答えが。。
衝撃的な、「九州」と、「どくろ」と、「魔女」には笑いました。
そしてそれらの元になったのが、ドイツの森だったことを知り、懐かしく思いました。

途中で起きた娘も安野さんの描く草花をじぃっと見つめ、楽しそうでした。

庭には安野さんの描いていた草花も見受けられましたし、秋の色に染まってきている木々が目をなごませてくれました。

すぐ近くには須和田公園もあり、中々素敵な秋の午後を過ごせました。
今まで以上にもっと絵を描いていゆきたい、そう思わせてくれる素敵な展示でした。

→市川市芳澤ガーデンギャラリー
「安野光雅が描く野の花」
9月27日(土)〜11月30日(日)

2014年9月25日木曜日

熊楠のみたものは

いつも京都、大阪どまりな関西。時間の合間をぬって、南方熊楠記念館にいってきました。和歌山は初体験。ほとんど何も調べずにふらっと行くのもめずらしく。とりあえずムスメもいるので無茶な旅行もできずに(関西に行くのですでに無茶をしているだけに)、とりあえず下見もかねて、ということで。
いざ、レンタカーにのって白浜へ。

車から降りると、むわっとした温室のような湿度、と、海の感触。
小さな小高い山の中に熊楠の記念館はありました。人もほとんどおらず。熊楠の一生をほんの少しかいま見ることができました。
10歳から14歳の頃にうつし終えたという和漢三才図会をはじめとする数々の蔵書。
一度書いたものは忘れないという並外れた記憶力の持ち主。彼はアスペルガーだったとされているようですが、確かに常人ではないことは伝わってきました。
館内の粘菌を顕微鏡でのぞいてわくわくしたり。サボテンをそのまま押し花のようにつぶした標本をみて、やってみようと思ったり。
記念館の屋上から白浜の眺望をぐるりと眺め、丘を散歩するカニを追いかけ、季節外れの海へ。

初めて見る海に興奮気味のムスメと足だけつかって遊んでみたり。

思いのほか時間がかかってしまい、顕彰館に行く時間はなく(記念館を後回しにすればよかった!)とれとれ市場で海鮮丼に舌鼓をうっていそいでまた戻るという強行日帰り旅行でした。


今の世の中に彼が生きていたら、なにを集めて考えるのだろう。やっぱりデータなどではなく、形に残る生のなにかを集めるのでしょうか。

熊楠のみつめていた宇宙。顕微鏡でのぞいた世界から、歩いて探しまわったジャングルの中から、膨大な本から得られた知識から、彼の構築した宇宙を、彼の残した数々の標本や言葉から私たちは想像するしかありません。

2014年9月9日火曜日

月はどっちにでている。

今日は特大の、スーパームーン。

それでいいんだよ、と背中を押されたような気がしました。

2014年9月5日金曜日

THE RINGS from The Hashimoto Collection

上野は、西洋美術館でやっていた、橋本コレクション、指輪、を娘と見て参りました。ジュエリーをやってる身としては、行かないわけにはいきません。
ムスメ、初、美術館。どきどきしながら行ってみました。数々の指輪が、時代別や、そのときの背景やファッションなどと一緒に展示され、楽しく拝見させていただきました。途中ムスメがぐずりだす直前までいきましたが、おしゃぶりでなんとか回避。
にしても、警備員がずっとついてまわるのには参りました、、
赤ちゃんと一緒だからでしょうか。なにもしませんし。させませんし。泣いたら出て行く覚悟ですし。

日本の美術館て、してはいけないことばかりで、息をひそめてしずかーに、メモもとれず、模写もできず、子どもも嫌がられて、ほんと何のための展示なのかと思うときが昔からあったけれど、今自分が子どもを持つ身になって、あらためて、首をかしげる変な場所、だと感じる様になりました。
沢山の場所を旅してきて、主にヨーロッパの美術館では学生をはじめ、子どもが首から画板と画用紙さげてみんなで模写していたり、先生が大きな声で絵の説明をみんなにしていたり、素晴らしい教育環境だなと感じました。一流のものを小さい頃から見せる。学習材料にする。最高ではありませんか。

さて、展示ですが、たしかに色々あって面白かったのですが。
台のスポンジのせいか、少し遠いせいか、照明のせいなのか、指輪が見にくくて、、正面から見た方が面白いものと、横から見たほうが面白いものと、裏からもみることでよりいっそう理解が深まる形のものもあると思うのですが、これは、知らないとなんのことか全然わからないだろうな。というような指輪も沢山ありました。拡大鏡、、持っていければ良かったかも。

そして、橋本コレクションからはかけ離れてしまうのかもしれませんが、あえて現代のコンテンポラリージュエリー作家たちが生み出す新しい指輪も併せて展示してほしかったです。ひと昔前、までで終わってましたので。
現代史やってない、世界史の授業、みたいな感じでした。

とはいえ、ますます指輪を沢山制作したくなったのは事実でして。もりもりやっていきたいと思います。

展示会の図録は、、少し見づらかったので。
やっぱり同じ橋本コレクションからの指輪ならこの本だなあ、、とあらためて読み直した、諏訪恭一会長監修の
指輪88 四千年を語る小さな文化遺産たち

拡大写真や横からの写真など、その指輪にあった角度からの写真が満載でとってもわかりやすいです。おすすめ。