2011年2月28日月曜日
アラーキーに会った日
雨になるとよく思い出すのが、荒木経惟、アラーキーに会った日のこと。
当時浪人生の私はこれも勉強、横浜トリエンナーレを見に行った。作品鑑賞していたら、突然会場がザワザワとしはじめた。
その真中をものすごいスピードであるいていたのが、アラーキーだった。
テレビや雑誌でみるのと全く雰囲気のかわらないアラーキーに会場は騒然として。
周りには、何人か、先生!これがだれだれのです!先生!先生!と腰ぎんちゃくみたいな人たちが群がっていて、異様な光景だった。
そのまま引き続き作品を見終えて会場をあとにしようとしたその時、
偶然アラーキーも同じタイミングで外にやってきた。
そとは小ぶりな雨。
アラーキーは突然「なんてきれいな雨なんだ~!!!!」と叫び
胸元からコンパクトカメラをとりだし、パシャパシャと撮り始めた。
確かに、空はうす曇りで、暗くもなく明るくもなく。
ただ、きれいだったけれど、私はそのアラーキーのカメラのフラッシュがそこに足されて
一秒一秒がきりとられていくようで。それがもっときれいだな、と思った。
気づいたら私はアラーキーの後ろを歩くはめになっていた。
アラーキーは髪の長い色っぽい女の人を横に連れて二人で楽しそうに歩いていた。
その後ろに私たち二人。
何か4人のパーティーみたいになっていた。
一緒にいた子が、お前、せっかくだからアラーキーにサインか握手してもらえよ!
と私に言うので、まあ、確かにそうだ。と勇気をふるいおこし(私はそういうのが極端にすきではない。)
すみません!握手してください!
とお願いしたら
くるっと振り返ったアラーキーは握手をしながらこう言った。
「小さな不幸を。」